どこでも一緒、氷霧も一緒
とことことこ……ピタリ
俺が止まると後ろの足音も止まる。
・・・・・・・とことこ
再び歩き出すとまた、2つの足音が重なる。
「氷霧・・・・・・」
振り返ると案の定、いつもと変わらない氷霧の姿。
「んっ?」
「俺達、喧嘩してるんじゃなかったっけ?」
「けんか?」
言葉の意味が分かってないのか、
はたまた、喧嘩なんてしていないという意味なのか。
間延びした声からはよく分からない。
「昨日、俺の部屋から黙って出て行ったじゃないか。
あれ、怒っていたんだろ?」
「怒ってない」
「本当か?」
「ああ」
あっさりとした氷霧の言葉を聞いて一気に脱力した。
約束していた散歩に付き合えなくなったのをどう謝るか。
そんな事で一晩中悩んでいたのが馬鹿馬鹿しく思える。
「青樺が・・・・・・・」
氷霧の声音が落ちる。
「青樺が忙しいなら、わがまま言わない」
しょんぼりとした氷霧を見ているともうどうでも良く思えた。
氷霧の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「いいよ、今からいくか」
復讐を誓い、それしか考えていない俺がこんな穏やかな気持ちになる。
本当、不思議な奴だ。
「・・・いいのか?」
「ああ。仕事はその後にやる事にするさ」
「俺も」
「ん?」
「手伝う」
「いや、それはいい」
これだけはキッパリと言っておく。
手伝われたら進むものも進まない。
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「? ああ」
「さぁ行くぞ」
こくんと頷いてまた後ろからとことこ、とついてくる。
「あのな、一緒に出かけるんだから隣を歩くんだ」
手を引いて隣に立たせる。
「隣?」
「そうだよ、俺が一人寂しく出掛けるみたいじゃないか」
「いいのか?」
「当たり前だろ」
「青樺・・・・・・」
―――それは一瞬
唇と唇が重なった。
「ひょ、氷霧!? 前にも言っただろ! そういう事は・・・・・・」
「青樺と仲良くなりたい。もっと、もっと」
「だからって、イキナリは無いだろ・・・」
「イキナリじゃなければいいのか?」
「・・・・・・」
何て言ったらいいのか。
貴沙烙の奴、余計な事を教えやがって。
「青樺?」
こっちはこっちで何事も無かったかのように自然体だし。
俺ばっかり振り回されてる。
ってか、俺のファーストキスもイキナリ貴沙烙にされたんだよな。
それで、氷霧に『仲良くなりたい人にはキス』を教えたのも貴沙烙。
・・・・・・・・あのヤロウ。
「??」
何が悪いのか分からないといった風な瞳で俺を見つめる氷霧に、俺はため息をついた。
「とにかく、不意打ちは止めてくれ」
それじゃなければ防げるだろう。
「ああ」
「じゃあ、今度こそ行くぞ」
こくん。
今だけは、何もかもを忘れて過ごそう。
こいつと一緒にいる時だけは、自然体でいられるから。
―――後日、斎旬が醜隗用に作った仮面を付けた青軍リーダーが貴沙烙に奇襲をかけたとか。
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雛みたいに青樺にとことこついてくる氷霧と、なんだかんだ言いつつ氷霧に甘い青樺の関係が理想的です。
精神的には青樺×氷霧、だけどやっぱり氷霧×青樺が希望。
あ、青樺が貴沙烙に奇襲をかけたのは、また氷霧に何かしら教えたんでしょうね(笑)
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