tame
目の前にいる二人を見ると心が和む。
ほら今も。
氷霧が青樺の後ろをひょこひょこと歩いている。
人間同士の親子というよりも、飼い主と雛のように見える二人の関係。
飼い馴らされた一匹のひよこ。
ひよこを溺愛する飼い主。
例えでは無く、本当にそんな関係であるのがすごい。
「青樺、好き」
「俺も好きだよ、氷霧」
笑う氷霧、答える青樺。
『好きだ』とお互いの気持ちを言葉にして出す二人。
同じ言葉を発する二人。
けれど、その言葉の意味が違っているとは気付けない二人。
そんな関係だからこそ、俺はこうして傍観していられる。
そんな二人だからこそ、俺はみっともなくヤキモチを焼かなくて済む。
「青樺、好きだよ」
そう、俺が同じ言葉を発したら青樺は顔を赤く染めた。
―――ひよこは憐れな者だ。
いくら溺愛されていても、飼い主とは決して結ばれる事など無いのだから。
口元にうっすらと笑みを浮かべながら俺は青樺の腰に手を回した。
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久しぶりに書いた帝戦の小話で貴青←氷霧。
キノ子ちゃんとした『辞書でランダムに選んで貰った言葉を小説にする』という企画で書きました。
タイトルのtameは飼いならされた、慣れた、という意味で使ってみました。
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